伊達10万石の城下町であった宇和島の料理は、人々の生活の中から生まれた、地元で採れる食材を利用した郷土料理です。
「宇和島鯛めし」は昔、伊予水軍が作り出した野趣あふれる男性的なまかない料理であり、全国でも宇和島しかない料理で、2007年に農林水産省の郷土料理百選にも選ばれています。
これは昔、漁師が火の使えない船で、釣った鯛をご飯に乗せて、食べたのがそのはじめといわれています。
現在では鯛の身を3枚に薄くおろし、醤油、みりん、生卵、などで作ったタレと混ぜ合わせ、ご飯にかけ食べる独特の郷土料理です。
「さつま」は漁師が船の上で、魚が入った味噌汁を麦飯にかけて食べたのが由来とされますが、現在では宇和海で獲れた魚を焼いてほぐし、みそとだし汁を混ぜ合わせ薬味を加えて、麦飯にかけて食べる素朴で忘れられない美味しい郷土料理です。
宇和島は東方から山が迫り、耕作地は狭いので、昔は米が手に入りにくく、そこで生まれたのが「丸ずし」であり、もともと食べなかったフカを料理したのが「ふかの湯ざらし」です。
以上の様に宇和島では地元で獲れた新鮮な海の幸を、無駄なく利用し、食卓を飾ってきましたが、これはらは昔の人が生活の中から生み出した、素晴らしい郷土料理と言えます。